不耕起で畑をする理由

▼なぜ不耕起なの?

意外に思われるかもしれませんが、国連の報告によると、今、世界中で土が劣化し続けていて、日本も例外ではないとのこと。

土の劣化が進むと植物が育たなくなる

その大きな原因の1つとなっているのは「耕すこと」だといわれています。だからといって単純に「耕すこと」をやめればいいというわけではありません。

科学的な見地から、土を豊かにしながら慣行並みの生産量を目指すためには、次の3つを押さえて農業を行う必要があるとされています。

  • 耕起をしない
  • 被覆植物で土を覆う
  • 輪作する

僕はこの3つを原則にして畑をやっていきたいと思っています。

ちなみに、いままでの農業における革命はどんなものだったかというと、

  1. 農耕という概念の始まり
  2. 犂(すき)と畜力の導入
  3. 機械化と工業化
  4. バイオテクノロジーの躍進(←今ここ)

というものです。特に、4つ目は緑の革命とも呼ばれ、食糧生産量を飛躍的に伸ばすことで食糧危機を回避してきたという歴史があります。

一方で、今のままでは「持続可能性がない」という課題も抱えているので、解決に向けていろんな方法が試されていくことが望ましいと思っています。

▼個人的な背景

先ほど挙げた土壌の劣化は、社会的な課題であることは間違いないのですが、この方法で畑をやってみたいと思うようになった個人的な理由は2つあります。

故郷がなくなった

そもそもなぜ僕がこういったことがやりたいのかを振り返ってみると、原点になっているのは、僕が高校生のころに、祖父母が長年やってきた畑が区画整理事業のためにあっけなくアスファルトで埋められた経験からです。祖父母が戦後に開拓民としてやってきた苦労を知っていただけに、なんともやるせない気持ちでした。

開拓民としてやってきた祖父 昭和20年の様子

また、この地域はもともと地面の起伏が多くて、そうした微地形を自転車で走るのがとても好きだったのですが、それがどんどん平らに均されていくのも当時の僕には衝撃的でした。

昭和20年の航空写真(地図・空中写真閲覧サービスより)
昭和57年(僕が生まれたころ)の航空写真(地図・空中写真閲覧サービスより)
現在の航空写真(google mapより)

ランドスケープ(景域)への関心

愛着のあった故郷がなくなったことで都市計画というものに興味をもち、大学では、土木や建築を学ぶなかで国内外の集落を巡り、地形や気候に寄り添って、人と自然が織りなしてできあがった、ひとまとまりの姿がとても好きになりました。

カンボジアの集落の実測調査に参加したときの写真

そうした理由から、仕事では、そのまとまりを計画するようなランドスケープに関わっていきたいと思い、卒業後は、まずはとにかく植物にたくさん触れたかったので造園・園芸業の会社に就職し、庭や花壇をはじめ、室内や温室、壁面、屋上などいろんな現場と多種多様な植物を扱うを経験しました。

しかし、仕事をしていく中で、土壌の物理性と化学性にくらべて、生物性があまり重視されていないことや、現場や敷地の外への影響についてはあまり配慮がされない、あるいはできないことから、植物を扱いながらも自然に負担を与える割合の方が大きいのではないかと感じることも少なくありませんでした。

そのため、今は自己完結できる畑という環境で、先ほど挙げたような課題に向き合ってみたいと思っています。

▼この方法のメリットは?

この方法を行うと土壌の生物性が改善されることや生態系機能が高まることから、農薬や肥料を使わないで済む、あるいは、使用量を大幅に減らすことができるといわれています。

また、耕起や施肥、薬剤散布といった作業が少なくなることで、人や燃料にかかるコストも少なくなると考えられています。

SDGsでもいわれているような持続可能な社会に向けた取り組みの1つになれるかもしれません。

社会的なメリット
  • 生物多様性や生態系への寄与
  • 資源の枯渇に対する対策
  • 持続可能な食糧生産の提案 など
農家側のメリット
  • 資材コストの削減
  • 人的コストの削減
  • 燃料コストの削減 など

▼なぜ広がらないの?

慣行農業と同程度の収量を生産している事例は世界各地であるようですが、まだ部分的にしか普及しておらず、日本でもまだまだ実践例が少ないのが現状です。

その理由は、このような方法に転換したあと、収量が安定してくるまでには、だいたい3年前後の時間が必要といわれているうえに、その間の収入減や、失敗へのリスクは、一農家がすべて被ることになってしまう状況があると思います。

また、そもそも参考になる事例や研究が少ないことや、消費者に方法の価値について理解が得られない or 労力がかかる or 説明する力が足りないといったこともあると思います。

  • 土壌の劣化について実感が湧きにくい
  • 周辺に参考にできる実例が無い
  • 指導者がおらず相談できない
  • 研究が少なくデータの蓄積が十分でない
  • 近隣の理解を得るのが大変
  • 市場で価値がつかない
  • 政治的な支援がない

経済的にゆとりのある農家が少ないなかで、このようなことがいくつか重なることで、リスクをとって不耕起への移行に踏み切れる人が少なかったり、転換途中で辞めてしまったりということが、広がらない理由となっているのかなと思います。

▼polcaを通して支援者になって頂きたい理由

正直どうなるかわからない

実は既に2年近く、この方法で畑をしています。

借りたばかりの畑の土(実践する前)
現在の畑の土(実践を始めて1年半くらいのとき)

今のところ、まだ作物が十分に育つ環境になっていないことから、この畑からの収入はほとんどありませんが、確実に土が良くなってきているので、あと1~2年続けると、いろんな野菜が育つようになりそうという予感はあります。

でも、それには希望的観測も入っていると思うので、十分な収穫ができるようになるのかは正直なところわかりません。

なので、クラウドファンディングでよく見られる、支援に対して野菜でお返しをするといったようなお約束をすることがまだできません。

じゃあ何をすればいいのか問題

僕の場合は、とりあえずやってみることを選びましたが、多くの方にとっては
共感をしていただいたとしても、現実的にすぐできるアクションの選択肢が少ないことで、何か行動を起こす機会を失ってしまっている、ということがあると思います。

「課題はわかったし、面白い方法があることもわかったけど、じゃあどうすればいいの?」という問いに対して何か良い解決策はないのかなと考えていました。

polcaの良いところ

polcaは募金や投げ銭みたいな気軽な感覚でアクションを起こすことができます。もちろんそのような支援をして頂けるのであれば大変ありがたいです。

他方で、polcaを通してゆるい繋がりが生まれるかもしれないというのも魅力的です。

畑の結果が出てくるまでに年単位の時間が必要なため、今やっていることが不安になることもあります。

なので、共感いただける方や興味がある方、アドバイスがある方、将来的にやってみたい方など、いろんな方と繋がりたいという気持ちもあります。

などフォローしていただけるだけでもとても嬉しいです。

▼最後に

長くなってしまいましたが、今のところ、このような考えで畑をやっています。

小さく始められるし、共感の繋がりが持てるかもしれないpolcaは、不確かだけどやってみたいこととの相性がいいのかなと思っています。

あと、polcaでご支援頂ける方の募集は、これからしばらく毎月やっていきたいと思っているので、負担にならない程度で継続してご支援していただけたら嬉しいです。

お礼としては、感謝の気持ちを込めたメッセージと、もし支援者の方のご希望があれば、お好きな植物についてご連絡をいただければ、可能な範囲で育てて経過を報告していきたいと思っています。

「支援者になってもいいよ!」という方は、下のリンクかQRコードからよろしくお願いいたします!