無肥料栽培を実現する本【書評】

グリーン関連のおすすめ本

自然の循環というと何を想像しますか?

「動かない」という進化を選んだ植物は、光や水、空気を通して生きるために必要な物質を吸収します。また、鳥や昆虫などの動物の力も最大限活用しています。

本書では、そのような小学校や中学校でも習う自然の循環をあたらめて知り、その流れの中で栽培をしていくことで無肥料、無農薬でも野菜を育てることができることを提示している本です。

これから野菜を育ててみたい人には知っておいて損はない知識が記されています。

畑が無いとあきらめたり難しそうだと身構えたりする必要のない、プランターや小さな庭からでも気軽に始められる方法なので、ぜひ一読をおすすめします!

マニュアル本ではありません

ちなみに本書は、野菜の種類ごとにいつ、どのように、何をすれば良いのか、といったような手順がかかれたマニュアル本ではありません化学肥料や有機肥料を使わずに、無肥料で野菜を育てるためにはそもそもどんなことを踏まえておかないといけないのかということを中心に書かれています。

なので、実際に自分で始めようとしたときに「あれ? 結局なにをすればいいんだっけ??」となることもあるかもしれません。けれど、最低限の必要な知識を得たらあとは自由。栽培に失敗しても成功しても何が原因だったのか、次はどんな改善点があるのかを自分で考えることができるようになると思います。

つまり、本書は、自分で考えながら栽培していくうえで大切な「観察するためのポイント」が書かれているといってもいいと思います。

それぞれの種の特徴、植物ホルモンの働き、月の動き、葉の色などさまざまなことが複雑に絡み合って植物は生きていますが、自分の目の前の野菜の状況と照らし合わせて「この種はこんな形をして出来ているから、次はこうした蒔き方がいいんじゃないか」「野菜の周りに草が生えてきたけどこれは抜かないほうがいいんじゃないか」など、

いろいろ想像をめぐらせることができるようになると植物と対話できているようで、ただの単純な作業だと思っていたものが楽しいものになりますよ。

 

どんな内容?

植物の成長には窒素・リン酸・カリという3つの必須元素が大切であることはよく聞くと思います。なので、一般的にはこれらを肥料としてあげましょうとなるのですが、筆者は「必須元素を枯渇させないという意識が必要」といいます。枯渇させなければ、土は疲弊せずに植物を育て続けることができるというわけなのですが、そのために、草をむやみに抜かないことや微生物のすみやすい環境を作るなどの方法を説明しています。

また、もう1つよく聞く言葉に連作障害というものがあるのですが、これについても「自然界では種はその場にこぼれ、翌年同じ場所で芽吹くのが当たり前」という前提のもと、それを防ぐために草や落葉が必要なことを説明しています。

 

著者の紹介

この本の著者の岡本よりたかさんは、TVディレクターやITエンジニアを経て、40歳半ばで無肥料栽培をはじめました。現在は、全国各地で無肥料栽培の普及活動をしたり、岐阜県の郡上八幡でシードバンク「たねのがっこう」を主催したりと精力的に活動されています。

ちなみに、うちの新しく借りた畑もアドバイスをいただく機会がありました。

雰囲気ではなく根拠をもってわかりやすく考えを説明するのが得意な方で、別の著書「野菜は小さいほうを選びなさい」の中で、「もともと種には植物がどれだけの細胞数になるのかが決まっているのに、なぜ同じ種を蒔いても大きくなったり小さくなったりするか」という素朴な疑問に対しても、腑に落ちる考え方を提示してくれています。

 

特殊じゃないよ

テレビや雑誌などでは、植物を育てるときに化学か有機をとわず肥料をやることが前提になっているので、“無肥料”で野菜を育てることは「無理」「特殊」なことだと思ってしまうかもしれません。

でも、植物がそもそもどのように生きているのかを知り、その生きるための物質は私たちの身の回りでどのように循環しているのかを知ると、無肥料という栽培方法が特別なことではないことがわかると思います。

そして、読んだだけではもったいないので、ぜひ、本書を読み終わったあとには実際に土や野菜に触れてみることをオススメします。植物に触ることって想像以上に面白いですよ!

 

無肥料栽培を実現する本