なんで多品目栽培なんて生産性の低いことをしているの?

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いま食べている野菜や果物のほとんどは、近代農業によって支えられていますよね。何かしら事情がない限り、スーパーに農作物が並んでいないなんてことはありません。食べ物に困らない環境を作り上げてきたことは、本当にすごいことだと思います。ただ、それと引き換えに深刻な問題が起きていることはご存知ですか?

 

農業は環境破壊をしている

農業は環境破壊の大きな要因の1つとなっています。これは、どういうことかというと、いまの一般的な農業は、ある面積あたりから収穫できる【最大の生産量】と、それに必要な【最小のコスト・労働力】を目指しているのでモノカルチャー(単一の農作物を栽培)となることがほとんどなのですが、これが生物の多様性にとっては大きなダメージを与えしまっています。

 

生物多様性が破壊されると困るの?

では、生物多様性が貧しくなると何が起こるかというと、乱暴にいえば「あなたの生活の質が下がってしまいますよ」ということなんです。詳しく説明していくとすごく長くなってしまうので、ごくごく簡単にしてみると、

  • 毎日受け取っている食料、安全な水、キレイな空気は、生態系サービスによって支えられています
  • その生態系サービスは、生物多様性によって支えられています
  • だから、生物多様性が貧しくなると、生態系サービスの恵みが少なくなります
  • 生態系サービスの恵みが少なくなると、農作物の栄養価が下がったり、水がキレイに戻らなくなったり、空気が淀んだりしていきます
  • そのような場所での生活はあなたを不健康にします

ということなんです。さらにいえば、この生態系サービスというのは、食料や水、空気だけでなく、それを基礎にしてできあがっている【教育や科学といった文化的なこと】や、【都市での安全で快適な暮らし】といったことも含んでいるので、健康だけでなく、生活の質も下がってしまうということなんです。

生物多様性と生態系サービスの詳しい内容はこちら

 

生物多様性を回復するための方法は?

生物多様性の回復を重視した農業の1つとして、例えば、ソニー研究所では協生農法という方法が研究されています。

これは、生産と環境がトレードオフの関係にある従来の農業から、生態系を回復させながら生産性も向上させる農業を探る試みで、ポイントは【密生・混生】【無農薬・無肥料・不耕起】【余剰を収穫】という3つのようです(詳しい内容は協生農法実践マニュアルへ)

生物多様性だけではなく、農薬や肥料、種の問題など、農業の環境への影響は他にもたくさんありますが、このような生態系を主軸とした方法がもし確立したとしたら、そのような問題もおのずと解決していくかもしれませんよね。

 

混ぜて解く・小さく解く

ここでようやく主題にたどりつきましたが、うちの畑でも、このような目的があって多品目栽培をしているという訳なんです。生産量や作業量という側面からみれば多品目栽培は生産性が低いかもしれませんが、角度を変えてみると、また別の価値があることがわかっていただけるかと思います。

ただし、うちでも行っている、この無肥料、無農薬での多品目栽培という方法には問題が2つあって、1つは、結果がでるまで多少の時間がかかってしまうこと、もう1つは野菜セットという形での販売がメインになってしまうことです。

買う側からしたら、欲しいときに欲しいものが手に入らないというのはストレスですよね。それでも、このような価値を共有してもらえるのであれば、土地や生物の多様性が回復して農作物ができあがっていくまでの過程を含めて、お住まいの近くにいる多品目栽培の農家を応援してほしいなと思います。

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ちなみに「混ぜて解く、小さく解く」は僕の恩師である建築家・江川直樹教授のお言葉。こんなところにも活きてくるとは…。小さな農家だからこそ、軽いフットワークでチャレンジしていきたいと思っています。