植物は<未来>を知っている【書評】

グリーン関連のおすすめ本

 

・・植物には記憶力がある。・・植物は動物を操作している。・・植物には視覚がある。・・・農業の現場などでこのようなことが語られると、

 

「それって言ってる本人の思い込みじゃないの?」

「こういった内容はトンデモ情報だ」

 

といった印象を受けて、その人の言っていることをカンタンに怪しいと片付けてしまうかもしれません。

 

でもちょっと待ってください!

 

信じられないかもしれませんが、実際に、オジギソウは記憶力を持っているし、トウガラシは人や動物を操っているし、オオバイヌゴマにはイラクサに擬態する能力があるんです。

 

未来に植物が必要不可欠な理由

 

まず、本書はこんな言葉からはじまります。

「現代のシンボルであるインターネットが、植物の根に似た構造をしているのは偶然ではない。頑強でしかも革新的だという点で、植物に勝る生き物はいない。動物とは大きくちがう方法で進化したおかげで、植物は非常に現代的な生き物になったのだ。人類が未来を計画するときには、そのことを頭にいれておくべきだろう。」

(「はじめに」から抜粋)

植物は動物とはまったく別の進化をしてきたので、わたしたちの想像が追いつかずに知ろうとしていないだけなのかもしれません。

本書では、そんな植物の驚くべき能力を9つの章にわけて紹介してくれます。

 

植物とインターネット

 

たとえば、植物の「分散化能力」について。

一般的に、根を張り動くことのできない植物が子孫を残していくためには、体の大部分が欠けても生きていけることが最も重要で、それを可能にしているのが分散化能力というわけです。

動物のように脳からのトップダウンで動くわけではなく、カラダを小さな単位(モジュール)の集まりで構成することで、たとえカラダの90%を食べられたとしても、それぞれのモジュールが協力しあい生存や再生を可能にしています。

また、1本1本の根は、それぞれが様々なセンサーを駆使しながら脳のように働き成長していきますが、これはインターネットの広がりとそっくり。仮想通貨を支えているブロックチェーンの考え方も同じですしね。そういった意味で植物はとても現代的なシステムを兼ね備えているといえますよね。

 

海を耕す?

もうひとつ面白かった例は「資源の循環能力」。いやいやそんなの知ってるよ、と思うかもしれませんが、その能力を元にした著者のアイディア、結構ぶっとんでいます。

将来、気候変動からくる淡水不足や農地不足が様々な調査によって予想されていますが、それを解決する方法として、海の上で野菜を育てるというアイディアを実現しています。

水に浮かぶクラゲ型ハイテク温室

この「ジェリーフィッシュ・バージ」は、植物のカラダの構造を参考に、自立した小さな循環システムを作ることで、なんと肥料やエネルギーなどの資源を消費せず、海水だけで野菜を育てています。

 

植物フリーク

著者のステファノ・マンクーゾさんは、フィレンツェ大学教授でかなりいい感じの植物フリーク。

植物生理の研究をはじめ、植物を通した活動は多岐にわたっていて、音楽活動や構造物の建造、ロボット開発などもしています。

こちらの映像で、そのオタクっぷりがわかって頂けるのではないでしょうか?w

 

 

最後に

わたしたちの頭のなかには、植物に対して食物連鎖のピラミッド構造の下層に位置するイメージがあるためなのか、その価値や能力を低く見てしまいがちです。

でも、まだまだ植物について知らないこと、学ぶべきこと、協力してもらえそうなことが沢山あって、上に挙げた例のように、思いもよらない発見がたくさんあるんですね。

ということで、まずは本書から、僕たちより知的で未来の先をいっている(かもしれない)植物の世界をのぞいてみて、植物に対する認識を少し変えてみてはいかがでしょうか?

身近な景色もちょっと変わって見えてくるかもしれませんよ!